はじめに

THIEAUDIOのHypeシリーズフラッグシップ機種であるHype10を購入しました。

2月半に購入したのでこのレビューは約半月使用してのレビューになります。箱出しでも大きな問題は無さそうでしたので、強制的なエージングは特におこないませんでした。記事執筆時の総使用時間は20時間ほどだと思います。

スペック

本体

ドライバーバランスドアーマチュアドライバー (Knowles / Sonion ) × 10
10mmダイナミックドライバー × 2 (”Impact Squared”)
シェル樹脂
インピーダンス / 感度18Ω / 105dB
再生周波数10Hz ~ 40,000Hz

片側にバランスドアーマチュア10基、ダイナミック2基の計12基を搭載したハイエンドにふさわしい構成となっています。

バランスドアーマチュアの構成については公式サイトに以下の通り記されています。

【高性能バランスド・アーマチュア・ドライバー】
Hype 10は、米国製Knowles SWFK 31736シリーズ・ウルトラ・トゥイーターと、デンマーク製Sonion E50DTミッドレンジ・ドライバー2基Sonion 28UAPベース・ドライバー2基を搭載しています。4つの独立したサウンド・ボア、4ウェイ・クロスオーバーを採用。Hype 10は、ハイファイ・オーディオ再生のために精密に設計されたクラス最高のドライバーを使用しています。ウルトラトレブル・トゥイーターは40kHzまで高音域を拡張し、空気感のあるハイパー・リアルなサウンドを実現します。さらに、SWFK 31736とE50DTによるドライバーの組み合わせは、中音域と高音域の完璧なトランジションとまとまりを生み出し、鮮明なディテール、アーティキュレーション、レイヤリングを実現します。28UAPシリーズは、これまでのシグネチャー・シリーズ・モデルでの成功実績をもとに選定されました。デュアル28UAPドライバー構成による低音は、非常に速い低音のヒット感と自然な減衰を生み出し、IMPACT²システムによる深く質感のあるサブバスと一体化します。これら選びぬかれた10基のバランスドアーマチュアドライバーの組み合わせにより、オーディオ愛好家が好むようなプロ用ラウドスピーカーにも引けを取らない高解像度のサウンドが生み出されます。

https://knicom.co.jp/news/20240131/

・・・もう何言ってるのかさっぱりわかりません。ビジネス文書としては最悪のレベルです。
元の文章が悪いのか翻訳が悪いのかわかりませんが、要点を抜き出すと

  • 10基のバランスドアーマチュアドライバー
  • Knowles SWFK 31736シリーズ・ウルトラ・トゥイーター
  • Sonion E50DTミッドレンジ・ドライバー2基
  • Sonion 28UAPベース・ドライバー2基

と記載されていることから、Knowles SWFK 31736シリーズのツイーターは6基搭載されているように読み取れます。さらに、

  • ウルトラトレブル・トゥイーターは40kHzまで高音域を拡張
  • 4つの独立したサウンド・ボア、4ウェイ・クロスオーバー
  • SWFK 31736とE50DTによるドライバーの組み合わせは、中音域と高音域
  • デュアル28UAPドライバー構成による低音

という記載からKnowles SWFK 31736シリーズのツイーターは超高域と高域に分けて配置されているように読み取れます。
どのような配置構成になっているかは記載からは読み取れませんが、可聴域を超えた超高域を必要以上にブーストするメリットは無いと思いますので、超高域に2基、高域に4基配置されていると予想すると

音域ドライバー搭載数
SuperHighKnowles SWFK 31736 2 (1ユニット)
HighKnowles SWFK 317364 (2ユニット)
MidSonion E50DT2 (1ユニット)
BassSonion 28UAP2 (1ユニット)
バランスドアーマーチュアユニットの構成予想

となります。
これにImpact Squared構成のダイナミックドライバが2基載ってきますので、最終的には以下のような構成になっているのではないかと予想しています。

音域ドライバー搭載数
SuperHighKnowles SWFK 31736 2 (1ユニット)
HighKnowles SWFK 317364 (2ユニット)
MidSonion E50DT2 (1ユニット)
BassSonion 28UAP2 (1ユニット)
SubBass10mm複合振動板2 (Impact Squared)
全体のユニットの構成予想

Knowles SWFK 31736は国内流通価格で1ユニットあたり¥8,500~¥9,000程度1の価格とのことですので、SWFK 31736だけでも左右(6ユニット)合わせて原価は5万円半ばということになります。(え、ほんとに・・・?)

これだけ大量のユニットを搭載していますので筐体はそれなりに大きめです。
しかし、耳に当たる部分は3Dプリントによる有機的な構造になっているため非常に良好なフィット感で、重量が面で分散するため本体の重量を煩わしく感じるようなこともありません。
遮音性もかなり高く、音漏れも非常に少ないと思います。

ただし、それなりに耳からの飛び出しがありますので筐体が大きいイヤホンにありがちな風切り音はやや気になります。

ケーブル

線材22AWG 6N OCC(単結晶銅)銀メッキグラフェンケーブル
コネクタ0.78mm-2 Pin ⇔ モジュラーケーブル ・プラグ(2.5/3.5/4.4mm端子)

ケーブル単体のスペックとしては1.5万円程度のスペックだと思います。
音は全体的になめらかで中低域に厚みを出すようなイメージで、Hype10のコンセプトと合致しているように感じます。
質感はケーブル表面がキュッキュする手触りで、肌や服に引っかかって使いづらいので個人的にマイナスポイントです。

基本的にはリケーブルの必要は感じませんが、Hype10自体はリケーブルの影響をそれなりに受けやすい機種なので、好みのチューニングを目指すこともできます。
音を硬質にして解像度を上げる方向でカスタムするとまた違った楽しさの音質に変わるので楽しいです。

音質

高域(High)

主張は多くないですが、繊細な音を繊細なままリアルに表現するのが上手いように感じました。
量的なバランスとしては主人公になりうる帯域ではないですが、密度感は高く、抜けも良いため天井を感じない音作りで他のバランスドアーマチュア多ドラ機にもあまり無い表現です。ダイナミック型単発機の表現に近いかも。

同社のPrestigeやMonarkと明確に表現が違うのはこの帯域かもしれません。

中域(Mid)・ボーカル

広がる低域とのシナジーで中域にも迫力が感じられます。広めの空気感は感じられますが、左右の振りによる立体感やシャキシャキの解像度感はあまり感じられません。
分析的に聴くと言うよりは、音楽を全体としてまとまりよく楽しみたいというリスニング向けのニーズに合致すると思います。

ボーカルは普通~やや遠めですが、ハリがよく艶感も感じられます。ただし、上流の機材にパワーがないとボーカルと同帯域の楽器の分離が途端に悪くなるため、最大のポテンシャルを発揮するためにはそれなりの出力が必要です。

実はイヤーピース交換によってボーカルがぐっと前に出てくるという発見もありましたがこれは別のエントリにて・・・。

低域(Bass)

厚みと広がりが特徴的で、バランスドアーマチュアの低域とダイナミックの低域をうまく掛け合わせ、いいとこ取りをしたような印象です。

カチッと弾むようなタイプではありませんが、サブベースの広がりと沈み込みが凄まじく、舌の付け根から後頭部が小さく揺れるような錯覚さえ覚えます。それでいて他の帯域の邪魔をしないというのがこのHypeシリーズの最大の魅力だと思います。

音色/解像度

音色はウォームよりで、解像度はこの価格帯(10万~20万レベル)であれば標準的~やや高めだと思います。全体の音が厚く、分析的に聴くようなタイプではありませんが、拾い上げた一音一音をギュッとまとめてグルーヴ感を出しているようなイメージです。

音場

全体の音場は広め。特に低域の広がりが特徴的で、近くで鳴る音と遠くで鳴る音の立体感が聴いていて気持ちがいいです。

左右の振りは弱いため、サラウンド的な立体感と言うよりは自然に広がるイメージです。

まとめ

全体的な音の傾向から、クラシックやオールドジャズにはやや不向きであり、逆にポップスや電子音を多用したエレクトロ・EDMなどに非常に向いている音作りだと感じました。
変にオールラウンダーにしようとせず、パラメータが明確に振られているというプロダクトデザインも好みです。

ここまでレビューして改めてフェイスプレートを見てみると、「モダンでエネルギッシュな音楽を聞いてくれ!」というメッセージにも感じられました。

また別のエントリーで書きますが、Hype10はケーブル・イヤーピース交換による音の影響を受けやすいイヤホンなので「カスタマイズして遊びたい」というニーズにも答えてくれるかもしれません。

価格はハイエンドに分類されるものだとは思いますが、部品の原価や音質から、なかなかハイコスパな一本と言って良いと思います。

  • ポップス・エレクトロ・EDMなどの音楽をよく聴く
  • ウォーム系のイヤホンが欲しい
  • グルーヴ感・迫力のある音を聞きたい

という人におすすめです。

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eイヤホンhttps://www.e-earphone.jp/products/detail/1589002/
代理店 製品ページhttps://knicom.co.jp/product/hype-10/
  1. “Knowles SWFK 31736″の価格はDigiKey、マルツの小売価格を参考にしています。 ↩︎